プフェッファークーヘン … ドイツ プルスニッツ …
プルスニッツ の街を訪ねて
プフェッファークーヘンは、ドイツ東部に位置するザクセン州の州都ドレスデンから北東に電車で40分ほどのプルスニッツの町で500年にわたって作り継がれてきた名物ジンジャーブレッドです。
中世胡椒に限らず、スパイス全般を指す言葉として使われていた「Pfeffer プフェッファー」と、ケーキを表す「クーヘン」と合わせて、『プフェッファークーヘン』
その特徴は麦粉に蜂蜜や甜菜糖を混ぜて生地をつくったら、それを木樽に入れて長期間保存し、熟成させる昔ながらの製法が守られていること。
19世紀以降 重曹やベークングパウダーを使い、化学反応によって生地を膨らませる手法が当たり前になる中、プルスニッツのプフェッファークーヘンは頑なに昔ながらのやり方を変えずに生産されているのです。
熟成効果とスパイスのブレンドを巧みにこなして作られるそれは、素材の良さが際立つきめ細かな焼き上がり、上品な甘みとやさしく鼻に抜けるスパイスの香りで食べ飽きることがありません。油脂も卵も使わないヘルシーさも嬉しいところ!
8軒の工房と1軒の工場で生産され、1年を通して地元の人たちに愛され、オーダーがあれば、ドイツ各地に発送されます。
人気のシュピッツェンは、様々なジャムを詰め、チョコレートでコーティングされており、優しく素朴な生地にジャムやチョコレートが相まって、いくらでも食べられそう。
プフェッファークーヘン博物館
町の中心部には『Pfefferkuchen museumプフェッファークーヘン博物館』が設けられ、ハートのプッフェッファークーヘンを抱いたマスコット坊やがお出迎えしてくれます。
館内は歴代使われてきた機械や道具がゆったりと展示されています…
こちらは生地をこねるマシン…のぞき込むとパワフルな回転歯が迫力満点! 麦粉と蜂蜜を合わせた生地はとても硬く、素手や木製の捏ね棒で捏ねる作業は大変な重労働でした。機械化されてこれだけの歯が必要なのですから、人力でしていた作業が偲ばれます。
生地をのばして、粉を払い、成形作業に進みます。
映像資料を参考に見学すると、作業のイメージが膨らみ分かりやすい…!
すでにお店を閉じられた工房から移設したオーブンは、薪を焚いて加熱していた時代のもの…
1890年製とあります。
4個並んだ白いレバーは空気量の調整をするためのもので、当時の薪オーブンは現代の電気やガスオーブンのように、1度温度設定をしておけば後はお任せ…とはいかず、焼き窯内の温度を管理するため、オーブンから離れることなく空気口の開閉具合を見極め、空気量を調整する必要がありました。
(左)彫りを施した木型 (右)今となってはなかなかお目にかかれない木彫りの型で抜いて焼き上げた 素朴で愛らしい姿の女の子↓
量産化が進むと木彫りの型も回転テープ式が考案されました。
現代の姿は…
現代のプッフェッファークーヘンは、四角形に型抜きし、焼きあがりにチョコレートコーティングを施すものと、さらにカラフルなアイシングでデザインを描いて仕上げられるものが主流になっており、博物館の体験コーナーにも、アイシングの絞り出し袋が並べられています。
甘くてスパイシーなお菓子の家
『ヘンデルとグレーテル』のお菓子の家にまつわる品も数多く展示され、どれも個性があり、味わい深くて見飽きることがありません。深い森の中に置き去りにされた兄妹が、プッフェッファークーヘンでできたお菓子の家を見つけ、甘くスパイシーな香りに誘われて、つい一口つまみ食い…そこからお話が始まります。
*『Pfefferkuchenmuseum プッフェッファークーヘン博物館』Am Markt 3 | 01896 Pulsnitz
035955-44246 | [email protected] https://kultur-tourismus-pulsnitz.de/pfefferkuchenmuseum
ドレスデン & 近郊 watching
アウグスト強王(在位1694~1733年)がザクセン王国の首都として造営した美しい古都ドレスデンへのアクセスは、フランクフルトから空路で1時間 ベルリンから電車で約1時間45分。
バロック様式の豪華なツヴィンガー宮殿やドレスデン城は芸術品が満載の美術館として開放され、フラウエン・キルヒェ(聖母教会)Frauenkircheのドーム型の天井部分はガラス張りの展望台になって、季節を問わず文化の香り高い散策を楽しめます。
そして街が最も活気を帯びるのは12月
旧市街の中心に位置するアルトマルクト広場では、ドイツ最古の歴史を持つクリスマスマーケット『シュトリーツェルマルクト』が開催され、世界中から集う多くの人で賑わいます。
市:マルクトの名称に付く『シュトリーツェル』は、ドレスデンで生まれたクリスマスのパン「シュトレン」を販売することに由来しており、ドレスデンのシュトリーツェルマルクトでは370年前からプフェッファークーヘンとシュトレンが並んで売られてきたのです!
入場口のアーチ「シュヴィップボーゲンSchwibbogen」はチェコとの国境に近いエルツ山脈の山あいにある木工細工の村『ザイフェン』で造られたもの。マーケット内は世界一高いと言われる「クリスマス・ピラミッド」が夜空を彩り、200以上ものヒュッテ:屋台が軒を連ねます。中にはプルスニッツのペッファークーヘンヒュッテやシュトレンのヒュッテも!
『プフェッファークーヘン』『シュトレン』とも日持ちしますから、併せてお土産におすすめです。
中にはプルスニッツのペッファークーヘンヒュッテやシュトレンのヒュッテも!
『プフェッファークーヘン』『シュトレン』とも日持ちしますから、併せてお土産におすすめです。
*『シュトレン』は700年前にドレスデンで当時大変貴重だった小麦粉で作られた長いパンが時を経て、今の姿になった歴史を持ち、1730年のクリスマス アウグスト強王は1.8トンのシュトレンを焼かせて、24,000人の招待客に振る舞っています。
*ショートトリップ*
マイセンへ
*ドレスデンから西へ30kmほどエルベ川を下った古都マイセンはヨーロッパ初の磁器が誕生した地。街の中心から10分ほど坂を登った丘の上にそびえるアルブレヒト城はアウグスト強王に白磁器の製造開発を命じられた錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーが幽閉されて研究にあたった部屋が残され、当時の様子が描かれている壁画や、苦心の末生み出された白磁器も展示されています。
*マイセン磁器製作所は1階がショッピングエリアとレストランと工房、2・3階が博物館になっており、マイセン磁器の製作工程からその歴史まで知ることができる他、工房見学ツアーや絵つけ体験などを楽しめます。
マイセンはヨーロッパ北限のワインの産地 アルブレヒト城から北に車で10分ほど走ると、800年の歴史を持つプロシュヴィッツ醸造所があり、エルベ川を見下ろす南斜面にぶどう畑が広がっています。
遠くアルブレヒト城をのぞむリッペ家のブドウ畑 ↓
1年中クリスマスの街『ザイフェン』
ドレスデンから鉄道とバスを使って3時間 チェコとの国境にほど近いエルツ山脈の山あいにある村『ザイフェン』は絵本から抜け出したような景色が広がります。この村は1480年に錫(すず)の採掘が始まったことで目覚ましい発展をとげたのですが、採掘量の減少により1800年代半ばには廃坑に… その後坑夫たちが冬の間の副業として勤しんでいた木工のおもちゃ作りが村の主要産業となって、今や村全体がおもちゃ箱のよう… ↓ ザイフェンの夏と冬
ザイフェン 木工人形『ペファークーヘン 売り』
昔はこうしてペファークーヘンを携えて行商していたのですね…ただ今 遠く日本まで出張中