クラウゼツーク Chlausezüüg … スイス アッペンツェル …
『クラウゼツーク Chlausezüüg』 は「Chlause:聖なる」「züüg:もの」からなる言葉
南ドイツから伝わったシュプリンゲルレから『デヴィスリ』が、ビーバーから『クラウゼビクリ』と、カラフルで地元感溢れるお菓子が生まれると、アッペンツェルの人たちは、それらを使ってスペシャルなクリスマスツリーを創り出しました。それが『クラウゼツーク』です。
アッペンツェルのクリスマスを100年余りにわたって飾ってきたクラウゼツークの構造は、一番下にミルクボウルが置かれると、くるみ等のナッツ類と、りんご、梨やヤマモモなどのドライフルーツで満たされます。
ミルクボウルがいっぱいになるとそこからは、『Filebrood フィレブロート』『Filerring フィラーリング』などアッペンツェル生まれの「クリスマスの編みパン」や『Biberfladenビーバーフラーデン』 を五角形または六角形に、上に向かうにつれて細くなるように積み上げて、クラウゼツークの基礎となるボディー部分を作ります。それだけで1m以上になる堂々としたものも多く、さらに、隙間にくるみやナッツ、ドライフルーツ、りんご等をぎっしり詰め込むのですから、それは保存食品タワーとも言えそう。
アッペンツェルミュージアム提供の1960年のクリスマスシーズン 地元ベーカリーの様子から…今も変わらぬ伝統のパンがこんがり美味しそう…
基礎となるボディー部分が出来上がると その外周にクラウゼビクリやデヴィスリを飾り、その間に真っ赤なりんご『クラウセアプフェル』が結ばれて、頭頂部にモミの木をのせたらクラウゼズイクの完成です!
1958年 アッペンツェルの家庭でクラウゼツークを作る兄妹…クラウゼビクリの間から編みパン『フィレブロート』やくるみがのぞいています。↓
アッペンツェルの人たちは、クリスマスを祝った後も続く雪が多く寒さが厳しい冬の間『クラウゼツーク』から『クラウゼビクリ』や『デヴィスリ』、くるみやドライフルーツを取り外し、少しずつ食べて春の訪れを待ったのです。
2度の世界大戦中に食料が配給制となり、クラウゼツーク作りに必要なクラウゼビクリやブローティスやファイルブレッドを焼くことができなくなったのを機にクラウゼツークのボディー部分は、木枠に置き換えられました。
現在は、街の木工細工職人さんが制作するクラウゼツーク専用ボディーに『クラウゼビクリ』や『デヴィズリ』、フィレブロート、りんごなどを飾り付けて、昔ながらの伝統が継承されています。
以下は2023年12月 アッペンツェルの街で見つけたクラウゼツークたちです。
絵本『Albert』
『Alnert』は作者アルベルトの子ども時代を描いた自伝的絵本です。アルベルトは絵を描くのがなによりも好きな子供でした。修行して一流の菓子職人になりましたが、絵を描き続け、絵描きになる夢をかなえます。アッペンツェルの四季の移り変わりと人々の営みが綴られ、本人の子ども時代を描いたこの絵本は、1987年 彼の50才の誕生日に出版されました。その後日本語にも訳されて『ちいさなアルベルト―アッペンツェルのある男の子のお話』として出版されています。本の中ではクラウゼツークは『おかしの塔』と表され、クリスマスの前日アルベルト少年が窓からのぞく中 とうさんが飾り付けをしています…。