レープクーヘン … ドイツ ニュルンベルク …

世界で最も古いお菓子の1つといわれるジンジャーブレッド その中でもニュルンベルクのレープクーヘンは、最古参!700年の歴史をもち、常にヨーロッパ中のジンジャーブレッドを牽引してきた存在で、クリスマスを前に世界中に輸出される国際派。

丸形や四角のボディーにチョコレートやシュガーコーティングが施されたシンプルで地味目な姿ながら、その生地はバラエティーに富んでいて、選ぶ楽しみも食べる楽しみも満載! 中身勝負の質実剛健さにドイツらしさを感じるお菓子です。

(上)老舗『レープクーヘンシュミット』のレープクーヘン

現代のレープクーヘンは、『ホーニッヒクーヘン』『レープクーヘン』『エリーゼンレープクーヘン』と、大きく3タイプに分類されます。

🍪『ホーニッヒクーヘン』「麦粉」と、ほぼ同量の「蜂蜜」、「スパイス」を材料とする伝統的なもの

🍪『レープクーヘン Lebkuchen』麦粉にスパイス、甘味料として蜂蜜、砂糖、さらにナッツやオレンジやレモンなど柑橘のピールを加えた生地から作られるもの

🍪『エリーゼンレープクーヘン Elisen Lebkuchen 1808年に生まれた新たなレープクーヘン 小麦粉やライ麦粉の使用は極力控えて、ナッツ類(アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ)を少なくとも25% 配合し、 スパイス(シナモン、ショウガ、コリアンダー、アニス、クローブ、オールスオアイス、メース等)をたっぷり加え、さらにレモンやオレンジの柑橘ピールや卵、マジパンも加えた生地から作られるもの

どのタイプも水で溶いた小麦粉を薄く円形に焼いた「ホスチア」の上に乗せて焼き上げられるのが伝統で、これは焼き上がりに鉄板から剥がしやすくするために始まった工夫ですが、今ではホスチアあってのレープクーヘン!

繊細モチーフのレープクーヘン

中世には彫りを施した木型に生地を押し入れて、美しいレリーフが浮かぶ芸術作品のような姿で焼き上げられて、金箔で飾られたり、彩色されることもありました。…皇帝が自身の姿を写したブロマイドとして使ったり、馬上槍試合に向かう騎士に武運を願って手渡されたり。 時代が進んで民衆の手に届くようになると、魔除けや厄除けの願いを託して壁飾りに、祝い事や記念日の贈り物に、子供のおもちゃとしてもつかわれました。祭りの屋台で売られると、連れ立って訪れるカップルのプロポーズには欠かせないアイテムとして活躍 さらに何年も保存のきく非常食そして兵糧としても重宝され、人気を集めたのです。

(左)ニュルンベルクで木製の桶の上に板を置いた移動式の屋台スパイスを売る路上商人 …15 世紀のイラスト 出典: ニュルンベルク市立図書館

(中)レープクーヘン職人の仕事 両脇を木の枝で補強した木製の桶の中で、濃厚なペースト生地を素手で捏ねていた。…15世紀後半のイラスト 出典: ニュルンベルク市立図書館

(右)騎士のモチーフが彫り込まれた木型

16世紀初頭のニュルンベルクのパン屋さんを描いた絵画が残されています。「今度はこれを使おうか…」とでもつぶやきながら木型を手にとるパン職人 手にしているのは自ら彫った木型かもしれません。

『12人兄弟の館のレープクーヘン職人』1520年 Hanns Buel Lebkuchner

19世紀を前に、大量生産が求められるようになると、金属性の抜き型が考案され、生地を大きく焼いて、抜き型を使ってハートや、動物、四角形や丸型形に抜き出されるようになります。

(左)19世紀の工房の様子…生地を伸ばして、型抜きしています。(右)金属製の抜き型

生地の材料も従来の:麦粉・蜂蜜・スパイスに加え、ナッツ類やオレンジやレモンなど柑橘のピール類、マジパン、卵も使われるようになり、焼き上がるとチョコレートやシュガーフロストでコーティングされることも多く、味や香り、食感のバラエティーが広がって、新生レープクーヘンの時代に。これに伴い凸凹レリーフの堅いオールドタイプは作られなくなり、長年使い込まれた木型たちは、大半は博物館へ。インテリアとして壁にかけられて余生を過ごすものも。

ュルンベルクの街とクリスマスマーケット

ニュルンベルクはICE特急でミュンヘンから1時間45分 ICでフランクフルトから2時間5分ほどの、中世の姿を今にとどめた美しい街です。

街の北部小高い丘に立つカイザーブルクを繋いで石を積み上げた全長5kmほどの城壁が街を囲み、街の南部 中央駅すぐのお堀にかかるはね橋を渡り、城門「ケーニヒ門」をくぐると、その向こうにも壁 二重の城壁で守られた中に旧市街が広がります。現在は城壁の間に職人広場が再現され、大きな石の塔は見張り台でした。

街を一望できる小高い丘の上に立つカイザーブルク Kaiserburg 1050年神聖ローマ帝国皇帝のニュルンベルク滞在中の居城として建造された中世の要塞 眼下にニュルンベルクの街並みが広がります。 

(左)フラウエン教会 (右)しかけ時計と中央に座るカール4世

 クリストキントレスマルクトの屋台にも様々なレープクーヘンが並びます。

皇帝カール4世が建設を命じたと伝わるフラウエン教会が見守るマルクト広場で開催される「世界一有名なクリスマスマーケット」:『 クリストキントレスマルクト』では200を超えるワゴンが並びます。

各種レープクーヘンが積まれ、カラフルなアイシングでデコレートされたハート型のレープクーヘンがリボンで吊るされたワゴンも多数出店して、甘くスパイシーな香りを漂わせて、クリスマス気分を盛り上げます。

ニュルンベルクのレープクーヘンは『Lebkuchen Schmidt シュミット』『Dull デュル』などの専門店で1年を通して販売されており、日本の老舗和菓子に通じる存在ですが、『Schmidt』、『Dull』の両店とも昔スパイスを扱う薬局を営んでいた店が、転身してレープクーヘンを作るようになったのだそう。

旧市街に店を構える『Lebkuchen Schmidt シュミット』

以下 ドイツアクセル・シュプリンガー社発行の新聞記事に掲載された『レープクーヘンの種別表』です。きっちりと種分けして…レープクーヘンへの愛と、ドイツ人気質を感じさせてくれます…